2009.07.23

貨物自動車運送事業における安全運行の確保及び過労運転・過重労働防止等労働条件の改善のための 協力要請について

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、運輸行政及び労働行政の推進にご理解とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
さて、貨物自動車運送事業者につきましては、運輸関係法令及び労働関係法令の遵守のみならず、運送事業の特殊な労働形態等を背景として自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上等を目的とした「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年2月9日労働省告示第7号。以下「改善基準告示」といいます。)及び過労運転防止を目的として「改善基準告示」と同内容の基準を定めた「事業用自動車の運転者の勤務時間及び常務時間に係る基準」(平成13年8月20日国土交通省告示第1365号)を遵守することが求められています。
しかしながら、貨物自動車運送事業においては、依然として長時間労働の実態がみられるところであり、その背景の一つとして、集荷・配達・運転時間等に関する発注条件が厳しい場合があることなどが指摘されております。
宮城県内の労働基準監督署が貨物自動車運送事業者に対して、平成18年に実施した監督指導結果によると、何らかの法違反が認められた事業場が87%に上り、また「改善基準告示」に関しては、73%の事業場に最大拘束時間、連続運転時間、休息期間等に関する告示違反が認められる状況となっております。
トラック運転者の長時間労働による過労運転・過重労働は、トラック運転者の家庭生活や健康状況に影響があるばかりではなく、交通事故の原因にもなることから、社会的にその改善が求められているところです。また、こうした過労運転を原因とする事故等を起こした場合には、発注者にも大きな影響を及ぼすことにもなります。
このような状況の下、トラック運転者の過労運転・過重労働を防止し、労働時間等の労働条件を改善するためには、関係事業者のみならず、改善基準告示等の遵守に関する荷主の皆様のご理解、ご協力が不可欠であると考えられ、発注条件等の面で十分な配慮をしていただくことが重要であると考えております。
つきましては、貴職におかれましては、貴団対傘下の会員各社に対して下記事項について格別のご理解・ご配慮をいただくよう、ご指導方お願い申し上げます。

  • 貨物自動車運送事業者については、トラック運転者の労働時間等に関し、労働基準法に定める労働時間等の規定のほか、改善基準告示等に定める拘束時間や運転時間の限度についても遵守することが必要であること。(別添参照)
  • 運送の発注を行うに当たっては、次の事項に配慮していただくこと。
  • (1)貨物自動車運送事業者が上記1の労働時間等を遵守した運行計画を立てられるように、発注条件をあらかじめ明確にした計画的・合理的な発注を行うとともに、急な発注条件の変更は行わないこと。
  • (2)適正かつ安全な運転を確保するため、トラック運転者の休憩時間、運行経路の渋滞等を考慮した配送時刻を設定すること。
  • (3)手待時間を少なくすることができるように、荷受、荷卸の時間帯の設定等について考慮すること。
  • (4)運送契約においては、貨物自動車運送事業者が事業の適正かつ合理的な運営が確保できるようにすること。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の内容
区分 内容
拘束時間
(※1参照)
1ヶ月 293時間
(毎月の拘束時間の限度を定める書面による労使協定を締結した場合には、1年のうち6ヶ月までは、1年についての拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において320時  間まで延長可。)
最大拘束時間 1日原則13時間以内
最大16時間以内(15時間越えは1週2回まで)
休息期間
(※2参照)
1日の休息期間は継続8時間以上
(運転者の住所地での休息期間が、それ以外の場所での休息期間より長くなるよう努めること。)
連続運転時間 運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に30分以上の休憩等を確保することにより、運転を中断しなければならない。
(1回につき10分以上、かつ、合計30分以上とすることも可。)
特例 (1)分割休息期間 業務の必要上、勤務の終了後継続した8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合、一定期間における全勤務回数の2分の1の回数を限度として、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割付与可。
この場合、分割された休息期間は、1日において1回あたり継続4時間以上、合計10時間以上とすること。
(2)2人乗務 1日の最大拘束時間を20時間まで延長可。休息期間を4時間に短縮可(ただし、車両内に身体を伸ばして休息できる設備がある場合に限る)。
(3)隔日勤務の特例 業務の必要上やむを得ない場合には、2暦日における拘束時間が21時間を超えず、勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与えること。

※1「拘束時間」とは、始業時刻から終業時刻までの時間で、運転や荷役作業を行う時間、手待時間(例えば、トラックが現場へ到着し、荷卸しや荷積みを始める時刻まで待機している時間などをいいます。手待ち時間も労働時間です。)及び休憩時間を合計したものです。
※2「休憩期間」とは、勤務を次の勤務の間の時間で、睡眠時間を含む労働者の生活時間として、労働者にとって全く自由な時間をいいます。