組合新春特別講演会講師 須田先生へのご質問と回答

 

1月24日(月)の協同組合エムビー・ネットワーク主催新春講演会にご参加頂きありがとうございました。

当日、時間の都合でご質問をお受けする時間が無く、その後皆様よりご質問を頂き、下記お礼のお言葉と同時に、回答を頂きましたので、皆様に公開をさせて頂きます。

尚、ご回答の内容は須田慎一郎先生のご見解であり、組合の見解ではございません。投資や資産の形成・入替えなどにご参考にはして頂きたいとは存じますが、あくまでも自己責任にてお願い申し上げます。

 

 

【以下 須田慎一郎事務所様より】

協同組合エムビー・ネットワーク様

先日は御組合の新春講演の講師を務めさせていただきまして、誠にありがとうございました。このようなご時世にもかかわらず、開催していただきまして、大変感謝しております。

いただいておりましたご質問にお答えさせていただきましたので、ご確認の程、よろしくお願い申し上げます。

ご回答が遅くなり大変申し訳ございません。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

須田慎一郎事務所

 

 

【以下 Q&A】

 

Q1

アメリカが長期金利引き上げを宣言しましたが、日本政府、日銀はこれだけ国が大借金をしている中で、金利を上げる方向に行くのでしょうか。

 

A1

日銀が利上げに動くのは①経済が成長(景気拡大)することによってデフレ→インフレになった時、もしくは②景気は回復していないけれども、そのまま放置できない物価上昇(インフレ)になった時、のいずれかでしょう。

①の場合であれば税収増(歳入増)が期待できるため、利払い増と相殺が見込めます。問題なのは②のパターンですが、国債利払いの大部分は日銀に流れ、最終的には国庫へ入る、つまり税外収入となるわけです。

その点だけ見れば、利上げは財政的にはあまり大きなマイナスの影響をもたらさないだろうと思いますが、日銀の利上げは間違いなく市中金利の上昇につながります。従って銀行などから借り入れをしている企業や個人にとっては、利払い負担は増大することになり、これが一番のリスクとなるでしょう。

 

 

Q2

物価の高騰、賃金が上がらないなど悪いタイプのインフレが起きる気配ですが、一般にインフレになると現金の価値が目減りすると言われておりますが、その場合、現金を何に替えるべきなのでしょうか?株式?金?不動産?原材料の在庫?

 

A2

いわゆる「インフレヘッジ」の話ですが、こうした場合には、一般的には「カネ→モノ」ということになります。しかしこの場合、不動産は含みません。なぜなら基本的には不動産価値は、その不動産が生み出す収益とパラレルな関係になるからです。(現在はその関係性が崩れているためバブルとされる)悪い物価上昇の場合、不動産の収益性は低下していくでしょうから、不動産価格は下落していきます。従って答えは、金です。ただし現物ではなく金ETFなどの流動性の高い金融商品です。

 

 

Q3

先生が尊敬するエコノミストの森永卓郎先生が2022年年初の河北新報での日経平均株価変動予測で2022年の最低ラインを15,000円と予測されておりますが、須田先生は2022年株価予測をどの様にお考えでしょうか?

 

A3

私としては最低ライン20,000円です。

現在の株価は間違いなくバブルです。なぜなら現在の企業価値以上の水準まで、株価が上昇しているからです。これを演出しているのが、金融緩和策の一環である日本銀行による株式(ETF)買いです。

各国の中央銀行が出口戦略(つまり金融引きしめ)へ向かう中で、いずれ近い将来、日銀もその方向へ向かわざるを得なくなってくるでしょう。

そうなると株価は下落トレンドへ向かうことになるはずです。

 

 

Q4

今年ロシアはウクライナに侵攻するとお考えでしょうか?また同時に中国は台湾に侵攻するでしょうか?もし仮に有事が発生した場合、日本の景気はどのようになるのでしょうか?有事には金を買うべきでしょうか?

 

A4

八割方ウクライナへ進行することになるでしょう。

ロシアとしてはNATOの東方拡大、特にウクライナとジョージア(旧グルジア)のNATO加盟は絶対に容認できません。ヨーロッパ及び米国がそのことを確約しない限り(文書等で)、侵攻は不可避です。

しかしヨーロッパ及び米国は、NATO加盟の他の東欧諸国(旧ソ連圏の国々)の信頼を失わないためにも、それには絶対に応じられないでしょう。

さて「台湾有事」についてですが、ウクライナのNATO加盟がストレートな形でロシアの安全保障を脅かしてしまうのに対し、中国にとっての台湾は、仮に現状のまま推移したとしても中国の安全保障上、何ら影響を受けません。

唯一言えるのが、中国の悲願である「海洋進出」、その意味するところは中国が自らの自由な意志で海洋上で活動できること、を実現する上で台湾を戦略上必要とした場合です。

ウクライナと台湾ではその持つ意味合いが全く異なります。従って「台湾有事」の可能性は今のところ低いでしょう。

 

 

以上